インターネットの著作権の動向

横浜国立大学 吉田 大輔


【情報のデジタル化と著作権との関係で明らかになった事項】

1)既存の著作物等のデジタル化は複製にあたる。
 アナログからデジタルへ複製技術が転換されたが、複製の概念は弾力的なので、複製と判断される。(LPレコードがCD化された場合と同じ)

2)デジタル化だけでデジタル化した者が権利を取得することはない。
 デジタル化に伴う費用、労力などからデジタル化した者に一定の権利を与えるという議論があるが、デジタル化は著作権法上は創作行為と評価されない。

3)デジタル化に伴って既存の複数の著作物等を収集・編集して一定のコンテンツを作成した場合は、「データベースの著作物」(コンピュータ検索可能なもの)、又は「編集著作物」となる。
 デジタル化とは別の編集行為については著作権法上、創作行為として評価しうる

4)「データベースの著作物」又は「編集著作物」とそれらを構成する個々の情報又は素材とは別々の著作権である。
 第三者が利用する場合には、データベースの著作権者などと並んで、個々の情報の著作権者の許諾も必要。データベースの著作権者が個々の情報まで許諾できない。

5)ネットワークを利用した情報の伝播については、有線送信権が及ぶ。
 有線送信権はユーザーの求めに応じて情報を送信する場合の他、サーバに情報を蓄積しておいてユーザーがアクセスできる場合にも適用される。
将来的には無線手段による情報ネットワークが発展すれば、放送権の見直しも。

6)情報のデジタル化によって情報の加工・改変は容易になったが、一方で同一性保持権に触れるおそれが増大。
 文章、写真、絵画等を加工する際に著作者の意に反する改変をしてはならない。
複製の許諾を得ていても、改変は別の問題。

7)既存の情報を要約する場合、原著作物を読まなくてもその内容の主要な部分が分かるものであれば、翻案権の範囲内。
 書誌的情報(書籍・雑誌のタイトル、論文・記事などのタイトル、著作者、発行者の氏名・名称、発行年月日、論文・記事などのページ数など)、及び当該論文などのテーマ、結論などを簡単に記述したアブストラクトなどは、著作権が及ばない。

8)複製、送信などを制約するための技術的制限が著作権保護の手段として重視。
 コピー・プロテクション、アクセス制限(パスワード、暗号化)など

【今後の課題】
 1)「伝達権」(Right of Communication)の導入放送権・有線送信権⇒伝達権or送信権
 2)一時的蓄積は「複製」にあたるか
   コンピュータのメモリ上に一時的に蓄積することを複製と考えるかどうかによって、複製権の範囲が変動。
 3)頒布権・輸入権の新設
 4)著作物性のないデータベースの保護
   情報の選択又は体系的構成に創作性のないものでも、「投資の回収」という観点から一定の権利を認めるべきか。

資料1 著作物
資料2 著作者(権利を有する者)
資料3 権利の内容
資料4 保護期間
資料5 権利の制限(自由に利用できる場合)
資料6 著作物の利用